ダイエット ボディメイク

整形外科医が女性へ全身の筋トレを推奨する理由

女性で筋トレを行っている方は少ないです。筋トレをやっているとすればまずは腹筋運動で続いて、二の腕のトレーニング、背中のトレーニングといったところでしょう。

全身の筋肉は一様ではありませんが、年齢と共に減少してきます。つまりもし限局的なトレーニングを行えば、他の残された部分の筋肉は減ってしまう一方なのです。

女性であっても全身を鍛えなければ知らず知らずのうちに自身の理想とするカラダから少しずつ離れていってしまっていることでしょう。

全身を鍛えることのメリットを知り、実践に移していきましょう。

筋肉は全身で減っていきます

①筋肉の減少は気づきにくい

ヒトは30歳を超えて何も行動を起こさなければ筋肉は減っていきます。ただ減っていくスピードが年間1%ほどと言われるぐらい緩やかであり、5年10年単位ならわかるかもしれませんが、本人も周囲の人も1年単位で気づくのは難しいです。

②全身で筋肉は減っていきます。

脚であろうが腕であろうが筋肉である以上は何もしなければ筋肉は減っていきます。

腕だけ異常に太く残る、脚だけ異常に太く残るということは通常ではありえません。あるとすれば特別な肉体労働者、スポーツをしている方などの方や、もしくは若い頃の名残で残っている方でしょう。

美しさにも必要

20代など若いうちはカロリー制限だけの減量でも、若さをアドバンテージとした筋肉量でなんとかなることが多いでしょう。

しかし体重管理をしっかりしている方であっても体重だけの管理であれば年齢と共に筋肉が減ってしまえば見た目は違ってきます。
気づかぬところで筋肉と脂肪の比率が変わっているからです。

体重がキープできていていること自体は称賛されることかもしれませんが、トレーニングをなくして筋肉の維持はできません。
筋トレがなければ二の腕の張り、脚の張りなど見た目の部分で確実に衰えが出てきているはずです。

大きな筋肉は必要な筋肉

①ヒトの歴史が証明している

ヒトが2足歩行となり何千年と経つ中で未だに残っている大きな筋肉はヒトが生きていく上で必要な筋肉と言うことができます。

つまり大きな筋肉から優先して鍛えていくことがヒトにとって必要な筋肉を鍛えることと同等と言うことができるのです。

②脚が最たる例

特に脚の筋肉は非常に大きな筋肉でありダイエット・ボディメイク効果が高くオススメの筋トレとしてよく推奨されます。また高齢の方に対しては介護・寝たきりの予防のためにオススメされます。

ヒトのカラダを運ぶ最も簡易的な移動手段である‟歩行”に直結する筋群であり必要で大きいというのはイメージし易いでしょう。

本当は必要な筋肉を見逃していませんか?

①大腿四頭筋=太い脚のイメージ

脚のトレーニングは非常に重要で、ダイエット・ボディメイクにおいても意義の高いトレーニングと言えます。

しかしジムでトレーニングを行っている女性を観察していると、マシンを使用して脚のトレーニングを行っているのにレッグエクステンションだけ飛ばしてやらない方をよく見かけます。

太さを気にしている方も本当の理由は周りの脂肪が原因であることが多いです。
現に女性トップアスリートの脚でも脂肪がなければ太く見えないことが多いですよね。

恐らく大腿四頭筋=脚が太くなるというイメージの弊害であろうと考えていますが、そうそう太くすることなんてできませんので、全身で一番大きな筋肉を放っておくのは勿体ないとしか言えません。

②肩・胸の拒絶

男性では胸や肩のトレーニングは非常に人気な部位で、ベンチプレスやサイドレイズといった種目は特に人気です。

確かに三角筋が張り出すほど発達すれば肩幅に直結しますし、盛り上がるほどの大胸筋がつけばゴツさに繋がりますが、特に女性では頑張ったとしてもそうそう到達できません。

三角筋も大胸筋も上肢の動きに直結した筋肉であり、ヒトの長い歴史の中で残るべきして残っている大きく重要な筋肉です。もちろんその大きな筋肉も自覚なく減っていきます。

三角筋を例にとればドレスなどノースリーブのファッションスタイルの際で、肩のラインの美しさを演出します。年齢と共に三角筋が衰えれば肩のラインも出なくなってしまいます。

必要以上に筋肥大を恐れてトレーニングを拒絶することは勿体ないです。気づいた時には肩も胸の筋肉も少しずつ減っていっているのです。

全身のトレーニングをやらないことの弊害

①アンバランスなカラダになる。

トレーニングジムにいる人は、まずジムいるだけでややトレーニング意識の高い人の集団と言えます。しかしジムにいる人でも、全身をくまなく鍛えられている方というのはなかなか見かけません。

もちろんトレーニングを始めたばかりでいきなり全身を鍛えていくのはなかなか難しい問題です。
ただ、年単位で継続してトレーニングができているのに万年同じような部位のトレーニングをしてしまっていては筋肉がアンバランスとなっていくことでしょう。

太くなることを恐れて脚のトレーニングはやらないという人がいたとすれば、
単純な太さ(cm)は細くなっていくかもしれませんが、脚の張りなどといった見た目は間違いなく衰えていっているはずです。

②気づかないうちに必要な筋肉を失っていく

意識してトレーニングを行っている部位は自身でもカラダの変化に気づきやすいものです。
なにより鏡などでチェックを怠らないことでしょう。

しかし、普段無視されているような部位はどうでしょうか?好きな部位でもコンプレックスな部位でも無ければ注視されることもありません。

しかし年々筋肉は減って言っています。
つまり気づかぬうちに必要な筋肉さえも失っているのです。

全身のトレーニングをやることの弊害

これまで部分的なトレーニングを行ってきた人にすれば多少の弊害、リスクを考えておかなければいけません。

もちろん事前に知っておくことで対策も可能です。

①時間・労力

これまで腹筋運動だけなど部分的なトレーニングをやっていた方などからすれば、全身のトレーニングへ移行することで時間と労力が大幅にUPします。

日々の仕事などに時間を追われ、疲れたカラダで行っているとすれば大きな弊害となりえます。

②器用貧乏になってしまうかも

全身を鍛えるために様々なトレーニングを行うことで、ひとつひとつのトレーニング習熟度が上がりにくいです。

特にトレーニング初心者の方などはトレーニングを正確に行う必要がありますが、どのトレーニングも中途半端な内容となり十分なトレーニング効果が得られないかもしれないというリスクがあります。

③挫折につながってしまうかも

ダイエット・ボディメイクにおいて最も重要なことは継続することであり、継続するためには小さな結果を出し続ける必要があります。

時間・労力の負担が大きすぎて挫折してしまったり、ある程度の期間でトレーニングを継続できていたとしても全く効果の実感ができなければ嫌になって挫折してしまいます。

少しずつレベルアップが継続のコツ

ダイエット・ボディメイクを成功させるためには小さな成功体験を得続ける必要があります。

特にこれからダイエット・ボディメイクを行っていこうという方であればある程度モチベーションが上がっているはずです。高いモチベーションの時に高すぎる目標、ハード過ぎるトレーニング内容にしてしまうと逆に挫折しがちです。

結果をあせる気持ちはもちろんわかりますが、一歩踏みとどまって冷静にこれぐらいなら自分でも十分やれるであろう、という小さな目標を掲げ、少しずつレベルアップしていくことが長い目で見た時にはゴールに近づくことができるでしょう。

まとめ

①筋肉は全身でどんどん減っていきます

年齢と共に筋肉は減っていきます。そして全身で減っていきます。足腰の筋肉が減るのはもちろんのこと腕の筋肉であってもちゃんと減っていくのです。ただなかなか自覚するのは難しいです。

②大きな必要な筋肉も見逃されがち

ダイエット・ボディメイクのために筋トレをやっているにしても自分の気になる部位に集中しがちです。しかし、肩であったり脚であったり女性が普段いらないと思っているような部分であっても実は大きな筋肉でありヒトにとって必要な筋肉が見逃されがちです。

③少しずつレベルアップをしていきましょう

いきなり全身を漫勉なく鍛えることは技術的にも精神的にも難しいです。最終目標は全身としつつも始めは小さな目標を設定し、着実に結果を出して少しずつレベルアップをしていくことをこころがけましょう。

 

ABOUT ME
jack-wall
現役の中堅整形外科医です。日本整形外科学会専門医。専門は肩と膝です。 筋トレ歴は20年ほど。 日々いかに整形外科医として成長し、ヘルスケアも意識しながらの継続的な筋トレが行えるかを考え邁進しています。