筋トレのメニューと言うとなんとなく「10回×3セット」のイメージがわくかと思います。
では腕立て伏せや腹筋運動を「10回×3セット」やってみて目に見える効果を実感した人ははたしてどれぐらいいるのでしょうか。
近年の答えとしては筋肥大に一番重要なのは
トレーニングの‟力積”(=トレーニングボリューム)です。
1週間にどれだけの重量を挙げたかということです。
結論としては1週間に必要とされる力積は
12~20セット/週です。
近年のトレーニング理論を知り、自身のトレーニングメニューを考えてみましょう。
力積=トレーニングボリュームとは
一番重要なのは力積(=総挙上重量)
筋トレで効果を出すにはなんとなく昔から
「10回×3セット」と言われています。
筋トレの本・説明などにも記載してあるのをよく見かけます。
しかし近年の研究結果において筋トレで最も重要とされているのは力積です。
トレーニングボリュームの方がわかりやすいかもしれません。
力積=重量×挙上回数×セット数
という式で成り立ちます。
力積が同じなら筋肥大効果も同様
筋肥大というとギリギリ10回できる重量を頑張って持ち上げるイメージかと思います。
20回という回数だと「○○引き締め効果!」などとよく謳われます。
しかし、近年の理論では力積が同等であれば高重量であろうが、低重量であろうが筋肥大の効果は同等なのです。
①100kg×10回×3セット | 合計3000kg |
②50kg×20回×3セット | 合計3000kg |
③50kg×10回×6セット | 合計3000kg |
④25kg×20回×6セット | 合計3000kg |
つまり①~④は同等の筋肥大効果を持つということです。
中~高強度(12~20セット)/週が推奨
力積が重要であることがわかりました。
次は最適な力積量を知りましょう。
各筋肉で12~20セット/週が推奨される
A Systematic Review of The Effects of Different Resistance Training Volumes on Muscle Hypertrophy.
J Hum Kinet. 2022.
限界まで追い込んだ1セットとして1部位12~20セットが良いとされています。
セット数は週単位で考えましょう。
筋力アップには高重量も必要
まだ結論が出ていない部分もありますが、最大筋力UPには高重量が必要ともされています。
男性の場合、挙上できる重量にこだわる方も少なくありません。
最大筋力をUPさせたい場合は力積を確保しながらも、高重量でのトレーニングが必要かもしれません。
力積重視から考えるメニュー設定
毎セット追い込まなくよい
研究としてはセット毎に限界まで追い込んだものを1セットとしていることが多いです。
セット数でメニューを決める場合は上がらなくなるまでを1セットとする方がわかりやすいですよね。
しかし、毎セット毎セットで上がらなくなるまで追い込むということはトレーニング経験の浅い人にはなかなか難しいなことです。また限界まで追い込むということ自体が怪我のリスクにもつながります。
限界まで追い込むトレーニングと追い込まないトレーニングの効果は同程度
Sports Med. 2016
セット毎に追い込んでいない研究も複数あり、セット毎に追い込む必要はないという意見もあります(未だ議論の余地はありそうです)。
つまり、セット数を増やして力積を確保できれば限界まで追い込まなくてもよいといことです。
これならトレーニング経験の浅い人にも取り組みやすいでしょう。
追い込まない時のセット数
12~20セットという目安は1セット毎を追い込んだ際のセット数です。
力積の確保ができれば追い込まなくて良いとはいえ、1セット毎のボリュームが少なすぎれば結局は力積の確保ができなくなります。
それなりにトレーニング経験があり、自身が何㎏の重量を何回挙上できるかを把握できている人は力積の管理も難しくないでしょう。
しかし、トレーニング経験の浅い人・これからトレーニングを始めようという人・自重でのトレーニングをしている人などは目安がありません。
そこで、セット毎に追い込まずに力積を確保するのであれば目安として1セット目だけは限界まで追い込むということをオススメします。
1セット目だけはなんとか頑張ってもらい重量・回数を記録します。
そして重量(1セット目)×回数(1セット目)×12~20セットを計算し、目標力積を設定します。
あとはセット数は増えてしましますが、刻んで目標力積まで積み上げるのみです。
1週間単位でメニューを考える
力積を1週間単位で確保できればいいので、個人それぞれの性格・ライフスタイルに合わせたメニューを考えることができます。
①月曜日に12セット
②月・水・金曜日に4セットずつ
①と②は同様の効果ということになります。
性格・ライフスタイル毎にアレンジできる
個人の性格もあります。
毎日小分けにしてやった方が良いという人、1日でやりきってしまいたい人・いろいろな部位のトレーニングがあり日を分けたい人、仕事の都合で平日は1日しかやれない人などです。
例をあげればきりはありませんが力積を確保するという点では柔軟性を持ってメニューを組むことができます。
例①:自重トレーニング
自宅での自重トレーニング例:スクワット、腕立て伏せなど。
ここでは目標力積を12セット分とします。
1セット目(上がらなくなるまで):15回
→目標力積:15回×12セット=180回
小分けにしてやりたい人 | 月~土曜日:30回/日 1日:朝食後10回、帰宅後10回、入浴前10回 |
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1日集中型 | 起床後:10回×2セット、10時:10回×3セット 昼食前:10回×3セット、15時:10回×3セット 夕食前:10回×3セット、入浴前:10回×2セット 入浴後:10回×2セット |
週2回 | 月曜日・木曜日:90回/日 朝食前:10回×2セット、出勤前:10回×2セット 帰宅後:10回×3セット、入浴前:10回×2セット |
週3回 | 月曜日・水曜日・金曜日:60回/日 朝食前:10回×1セット、出勤前:10回×1セット 帰宅後:10回×2セット、入浴前:10回×2セット |
自重例では上記表のように自由に設定できるのがメリットと言えます。
例②:ジムでの下半身トレーニング例
ジムでの下半身トレーニング例
レッグプレスをコンパウンド種目(複合種目)として複数の筋肉を同時に鍛えられるとしています。
月曜日 | 下半身 | レッグエクステンション×3セット、レッグカール×3セット、ヒップアブダクション×3セット、ヒップアダクション×3セット、レッグプレス×3セット、カーフレイズ×4セット、ヒップスラスト×3セット |
火曜日 | 胸 | 胸トレーニング |
水曜日 | 背中 | 背中トレーニング |
木曜日 | 下半身 | 月曜日:同 |
金曜日 | 肩 | 肩トレーニング |
土曜日 | 足 | カーフレイズ×4セット |
これで下肢の各部位のトレーニングとして12セット/週が確保できます。
トレーニング経験の浅い人から見れば、こんなにやるの?と思われるかもしれませんが、1日でやるよりかは当日は遥かに気分が楽だと思われます。
時には高重量も必要かもしれません
力積が最重要とされているとはいえ、最大筋力の向上には高重量も必要とされています。
低負荷・中負荷で力積を確保しているのに伸び悩んでしまったという人は時に高重量の刺激を与えることは必要かもしれません。
まとめ
①筋肥大にもっとも重要なことは力積です。
②12~20セット週を確保を目指しましょう。
③追い込むことが難しければ、トータルでの力積量を確保していきましょう。