ダイエット ボディメイク

整形外科医が筋トレをしても筋肉は不要に太くならない理由を考えてみる。

筋トレと聞くと「太くしたくない」や「ムキムキにはなりたくない」という拒反応的意見をよく聞きます。
しかし大丈夫です。安心してください。
筋肉が勝手にあなた意に反して太くなったり、ムキムキにもなることもありません。

むしろボディメイク・ダイエットに筋トレは必須です。
何故かを理解することで筋トレへの拒絶・誤解が減り、ボディメイク・ダイエット成功へ近づけることでしょう。

筋肉を多きくするのは大変

①筋肉を大きくする条件

筋肉は常に体内で合成と分解を繰り返されています。食事(タンパク質)や筋トレで合成が亢進され、飢餓状態では分解が亢進し、バランスが取られています。
つまり食事によるカロリーオーバーな状態、多量のタンパク質摂取もしくは筋トレをなくして筋肉が大きくなることはありません。

②カロリー制限中に筋肉を大きくするのはほぼ不可能

一般的に行われる体重を減らすことを目標としたダイエットであれば基本的にはカロリーは不足している状態と考えられます。飢餓状態に近い状態であり筋肉はどんどん分解の方向に傾いてしまいます。

体脂肪を減らしながら筋肉を増やすというのは報告レベルであり、厳格な食事管理と高強度のトレーニングを必要とします。

通常では筋肉は減ってしまう一方なのです。

③筋肉は減るのも増えるのも実感することは大変

ヒトは30代以降は年間1%ほどずつ筋肉が減少していくと言われています。
実際に20代前半の頃の体重をキープしていたとしても、筋トレをなくして30代以降に同様の体型をキープをしているという人は皆無でしょう。

男性であれば何もしていなくても割れていた腹筋がそのまま残る人はいませんし、女性であれば細くても二の腕などはたるみが出てくるものです。

なんとなく受け入れているという人がほとんどだと思いますが、「筋肉が減ったな」と実感している人はかなり少数派でしょう。
実際には代謝が落ちて皮下脂肪の増加、皮膚が薄くハリがなくなるなどの問題もありますが筋肉の減少が一因なことは間違いないです。

病気やケガなどで1カ月間入院などの極端な例でなければ自身で「筋肉が減ったな」と自覚することは大変なのです。

ただ筋トレをして「筋肉が増えたな」と実感することもとても大変です。
減量をして皮下脂肪が減らせられれば筋肉は見えるようになりますが決して増えてはいません。
筋肉量を増やすには年単位で筋トレをしていかなければいけないレベルですので、少なくともやる前からの「太くしたくない」や「ムキムキにはなりたくない」という心配はご無用です。

世間の実情

①引き締めたいとはどういう状態を求めているのでしょうか?

”ムキムキ”は敬遠されますが、「引き締めたい」という言葉はよく聞きます。一般的に紹介をされるトレーニングメニューにおいても‟引き締めメニュー”なるものが散見されますが、改めて考えると「引き締める」とはどういう意味なのでしょうか。

女性的視点が考えればおそらく”適度に筋肉がついていて、その上に適度に脂肪がついている”というところでしょう。
単純化するために数字で考えてみましょう。
仮にここでは二の腕を扱い、元々の二の腕の太さを100(筋肉50+脂肪50)としてダイエットをおこなったとします。

元:筋肉50+脂肪50

ⅰ:筋肉40+脂肪40(引き締めメニューを行ってダイエットをした人)
ⅱ:筋肉30+脂肪40(カロリー制限だけのダイエットをした人)
ⅲ:筋肉50+脂肪30(筋トレをしっかりして筋肉を維持して脂肪を減らした人)
ⅳ:筋肉60+脂肪60(カロリー制限をしないで筋トレをしっかりやった人)
ⅴ:筋肉60+脂肪20(食事管理も筋トレもしっかりやった人)

ⅰ、ⅱが一般的な方法と考えますが、ⅲが一番引き締まっているのように見えるのは間違いありません。ⅱはサイズ(cm)的には一番細いですが締まっては見えないかもしれません。ⅳやⅴはムキムキに見えるかもしれませんが、簡単にはなれないんです。
何を目指し目標とするか、価値観によるところもありますがみなさんはどれを目指しますか?

②細マッチョになるのは簡単なことではない

男性が目指す体形、女性からうける体形として”細マッチョ”がありますよね。腹筋は割れ程よく筋肉がついている、上の①の数字で表すのであれば”筋肉80+脂肪10”といったところでしょうか。20代前半ぐらいまで、特に高校生ぐらいまではよく見かけますが社会人になって20代後半となってくるとなかなか見かけません。仮に上記の筋肉50+脂肪50がスタートラインだとしたら筋トレなくして細マッチョには絶対になれません。

③なぜか皆腹筋はやる。

ダイエットとなるといわゆる腹筋運動が行われることがかなり多いですよね。”おなかスッキリメニュー”のようなメニューをよく見かける気がします。筋トレをやったら太くなるという”考え”からすると腹筋が太くなってお腹が出てしまうことも想像されなければいけないはずなのに、何故か腹筋運動だけは太くなることを想像されません。なんでなんですかね?
つまりこの腹筋運動こそが証明をしてくれていますよね。これでもかというぐらい腹筋運動をしている人はよく見かけますが、腹筋がつきすぎてお腹がでている人は見たことありませんよね。
ちなみにボディビルダーの方では腹筋運動をする人・しない人に分かれるらしいですよ。

まとめ

①ダイエット中に筋肉はつきません

ダイエット中はカラダにカロリーが足りていません。カロリー不足の状態で筋肉がつくことはないと言っていいですの、ダイエットに筋トレをしても太くはなりません。

②実情

カラダを引き締めたい人も、細マッチョになりたい人にも筋トレは必要です。腹筋運動をいくらやっても腹筋がつきすぎてお腹がでている人がほぼいないのがその証拠です。

 

ただしくカラダのことを理解することで認識も変わっていきます。認識が変われば意識も変っていきます。読んで理解するだけでもまずは始めてみてはどうでしょう。

ABOUT ME
jack-wall
現役の中堅整形外科医です。日本整形外科学会専門医。専門は肩と膝です。 筋トレ歴は20年ほど。 日々いかに整形外科医として成長し、ヘルスケアも意識しながらの継続的な筋トレが行えるかを考え邁進しています。