筋トレというとまず思い起こされるのがいわゆる腹筋運動かと思われます。自宅でもよく行われていますし、スポーツジムではトレーニングマシンを使用して行っている人もよく見かけます。
しかし、ボディビルダーでも腹筋運動をやらない人がいるのはご存じでしょうか?しかし腹筋はボコボコです。
結論、筋トレ初心者~中級者の方には腹筋運動は不要と言ってもいいでしょう。
効率が悪いからです。
背景を知ることで、今一度自身に腹筋運動が必要なのかどうかを考えてみましょう。
腹筋運動の不思議
①筋トレの中で腹筋だけは冷遇されない
筋トレと聞くと拒絶反応のように「ムキムキにはなりたくない」、「脚を太くはしたくない」などの意見をよく浴びせられます。しかし、何故か腹筋運動だけは違います。
老若男女を問わず”腹筋運動”だけは大人気です。腹筋運動をやって腹筋がムキムキになるとか、腹筋が太くなるという発想には何故か至らないんです??不思議です。。
②腹筋といえどもやり過ぎればお腹が出る
もちろん腹筋も筋肉です。鍛えれば太くなります。腹筋を割るには腹部の皮下脂肪を減らすということが大前提となりますが、もし皮下脂肪の量が変わらないという条件で考えると腹筋が太くなればその分お腹が出てます。
実際、コンテスト前など絞っていない状態でのボディビルダーの体型を見ると決してたるんではいませんが、お腹は腹筋で出っ張っています。服の上から見れば分厚い胴回りという印象すら与えかねます。
③ボディビルダーでも腹筋運動をやるかどうかはわかれる
ボディビルダーと聞くと”ムキムキ”、”ボコボコ”というイメージが湧くと思います。
上記②を聞くとボディビルダーはさぞ腹筋運動をやっているのであろうと想像されます。
しかし彼ら・彼女らは腹筋運動をやる人・やらない人にわかれます。ボディビルダーとは違いますが、フィジークという競技では逆三角形の上半身を作るために「絶対に腹筋運動をやらない」と決めている人もいるぐらいです。もちろんそれでも腹筋はしっかり割れています。
ただ、競技選手のようなレベルの人たちは100kg以上の重量の負荷をかけてトレーニングを行う際に体幹を安定させるために腹圧をかけます。つまりそれだけで実際の腹筋運動は行わずとも腹筋が仕上がっているのかもしれません。
今のトレーニング理論も知っておきましょう
①筋肥大には力積(合計でどれだけ負荷をかけたか)が重要です。
ここまで読まれると、腹筋運動は20回とか30回とか低強度のトレーニングを高回数で行っているから引き締め効果であって、腹筋は無駄に太くならないというイメージが強いかと思われます。
しかし現代のトレーニング理論としては筋肉の合成を高める(筋肉を太くする)には”力積”が最重要とされています。1回のトレーニングで合計どれだけ負荷をかけたかです。例をとってみます。
①1kg×100回
②10kg×10回
①と②、どちらが筋肉が太くなりますでしょうか?イメージとしては②だと思います。
しかし力積は同じであり、トレーニング効果、筋肉の合成という意味では同様の結果が得られることになります。
つまり、低強度であっても高回数で行えば、筋肉は太くなり得るのです。
②部分痩せは不可能
腹筋運動をはじめ、よく”脂肪撃退”などと謳われた高回数の筋トレ、また有酸素運動を組み合わせるようなエクササイズがよく見られます。
腹筋運動をたくさんやればかなり”やった感”は出ますので満足感は高く、また高回数・低負荷であると筋肉が太くなり過ぎない、引き締まるイメージが強いのも好まれる理由かと思います。
しかし、これまでの研究では部分痩せに対して否定的な意見が多数で、部分痩せを可能とする報告はかなり限定的です。
自分に腹筋運動が必要かどうかを考えてみましょう。
①自身の目標を確認しよう
特別何か競技性のあるスポーツをしていて腹筋を個別に鍛える必要があるという方はもちろん別です。他の全身の筋肉は全くいらない、腹筋さえあればそれで良いという方なども除かれますが…。
しかし、そうでない方が腹筋運動を行う理由はなんでしょうか?おそらくほとんどの方がボディメイクです。お腹を綺麗にしたい(腹筋を割りたい、引き締めたい)とった理由でしょう。
であれば、筋トレ初心者~中級者の人なら腹筋運動は不要という人がほとんどと思われます。不要というより非効率的です。
腹筋自体は誰しも割れています。問題はその上にある皮下脂肪です。皮下脂肪の撃退をなくして理想のお腹を手に入れることはできません。
②割れた腹筋はキッチンで作られる
「割れた腹筋はキッチンで作られる」という言葉があります。つまり、食事コントロールをなくして腹筋を割ることはできないということです。
腹筋を割りたい、腹部を引き締めたいという人は食事の見直しが一番の近道ということですね。
③腹筋運動は時間効率が悪いです
誰しにも時間は有限です。好きでやっているにしろ、健康のためにやっているにしろプライベートの時間をさいてやっていますよね。毎日何時間でも筋トレに時間を割けますという人は例外的でしょう。
仮に1時間をトレーニングに費やすにしても、その内の20分も30分も腹筋運動に費やすのは効率的とは言えないでしょう。体積の話でいえば、腹筋は腹直筋と腹斜筋を合計しても三角筋や大胸筋の半分にも及びません。大腿四頭筋の2割ほどの体積です。
当然、筋トレとして頑張った場合の消費カロリーは少なくなり
摂取カロリー<消費カロリーというダイエットの最重要公式から考えると、非効率的と言えます。
④お腹を引き締めたいのであれば全身運動を勧めます
効率で考えれば、全身を複合的に鍛える筋トレをおススメします。全身に強い負荷がかかれば腹筋は自然に鍛えられます。そして、カロリー消費・時間という点では圧倒的に効率的です。
大きな筋肉を複合的に鍛える筋トレ(自宅であれば腕立て伏せやスクワット、ジムであればBIG3といわれるトレーニング)が良いでしょう。
別記事で記載していますが、ダイエット中によほど不必要に筋肉が大きくなる心配はありませんので、筋トレをおススメされ結局、拒絶反応を示されてる方は再考してみて下さい。
⑤小さな結果を得続けることが継続のカギ
ダイエットでもボディメイクでも結果が得られなければ継続できません。効果が実感できない方法は「こんなことやっても意味があるのかな?」とか疑心暗鬼にさせます。そして最終的には辞めてしまいます。
限られる時間の中で効率的な方法を頭でしっかり理解しつつボディメイクを行うことで、自身が選択した方法に疑いをもつことなく継続ができ、また結果が得られることで継続につながり、自分の理想に近づけます。
まとめ
①腹筋運動でもちゃんと鍛えれば大きくなりお腹が出る可能性もあります。しかし、ボディビルダーでも腹筋運動はやらない人はいますよ。
②筋肉の成長は力積(合計でどれだけ負荷をかけたか)が最重要とされています。低負荷・高回数であっても腹筋は大きくなる可能性はあります。
部分痩せが不可能とまでは言いきれませんが、効果が証明されている方法を選択する方が確実です。
③おそらく筋トレ初心者~中級者のほとんどの人に本当の意味で腹筋運動は必要ではありません。腹筋運動という非効率的な筋トレを行うより、効率的な大きな筋肉の筋トレを行うことで結果を出しましょう。