キュッとしまった‟ふくらはぎ”、前から見てもわかる張り出した‟ふくらはぎ”は憧れますよね。
あまり大きなイメージを持たれませんが‟ふくらはぎ”の下腿三頭筋は全身の中で3番目に大きな筋肉です。
下腿三頭筋を鍛えるメリットはたくさんあります。放っておくのはもったいないですがことトレーニングにおいては放置されがちです。
ふくらはぎを既に鍛えているという方も‟何となくカーフレイズ”をやっていませんか?
下腿三頭筋、各トレーニングの特徴を知り効果的なトレーニングを行っていきましょう。
ふくらはぎ(下腿三頭筋)とは
腓腹筋+ヒラメ筋→下腿三頭筋
スネの後ろ、足首から膝にかけての広がりを‟ふくらはぎ”や‟下腿”、‟カーフ”などと様々な呼ばれ方をします。
下腿の後方に位置する筋群、足首を底屈(足先を下に降ろす)する筋肉を合わせて下腿三頭筋と言いますが元は腓腹筋という筋肉とヒラメ筋という筋肉を合わせて下腿三頭筋と呼ばれます。
腓腹筋とヒラメ筋が合わさってなす腱がアキレス腱です。
ヒラメ筋は人体の中で最も遅筋割合が多きい
ヒラメ筋は脛骨と腓骨の近位後方から始まりアキレス腱となり踵骨に付着します。
足首(足関節)を底屈(足を下に下げる)させます。
筋肉の中では7番目の大きさに位置し、ヒラメ筋ひとつでも大きな筋肉と言えます。
ヒラメ筋は人体の中で最も遅筋線維の割合が多いと言われ、報告にもよりますが7~9割ぐらいが遅筋線維で構成されていると言われています。
つまりトレーニングでヒラメ筋を意識して鍛えたい場合はハイレップ(高回数)で刺激する必要があるとも言えます。
腓腹筋は半々
腓腹筋は大腿骨遠位後面に始まり、ヒラメ筋と共にアキレス腱となります。
足関節を底屈させる作用の他に膝を曲げる働きもある二関節筋です。
カーフレイズを頑張ると膝裏や大腿遠位後面が辛くなるのは腓腹筋に効いている作用です。
腓腹筋はヒラメ筋の2/3ほどの体積でありヒラメ筋と比べればやや小さいですが全身の中では11番目に位置する大きさで腹筋や脊柱起立筋といったメジャーな筋肉よりは大きな筋肉です。
腓腹筋は速筋・遅筋線維の割合が半々ぐらいと言われています。
つまり腓腹筋の遅筋線維はヒラメ筋と一緒に鍛えられるとして、腓腹筋の速筋線維は意識した高重量での刺激を要すると言えます。
カーフは遺伝?
昔からカーフは遺伝でほとんと決まっているなどと言われており、かの有名なアーノルド・シュワルツェネッガーも自身のカーフを最大の弱点と言っていたという話もあるほどです。
実際に腱の長さに個人差があり腱が長い人は反対に筋腹を短くなり不利となってしまいます。腱の長さばかりはどうしよもありません。
過去の論文報告でも腓腹筋の筋肥大は難しいという報告が多いです。
確かに普段からそういう目を持って見ていると、特別トレーニングをしていなそうな人でも二度見してしまうような素晴らしい下腿を持っている方がいたり、逆に全身のトレーニングをしっかりやっているような方でも、みすぼらしい下腿をされている方もいます。
しかしボディビルで成功をしたような人の話でも昔はカーフが弱点であったなどの話、こうやって克服したなどの話は多数あり、弱点の方は打破できる可能性があります。
また最近の研究ではしっかりとしたトレーニングを行えば下腿は発達するとも言われていますので、遺伝のせいと諦めてしまうのは早いかもしれません。
合わせると全身で3番目に大きい
腓腹筋とヒラメ筋は完全個別に鍛えることは難しく、トレーニングの際は下腿三頭筋として合算して考えることが多いです。合算してしまうと全身の中で3番目に大きな筋肉となるのです。
ボディビル・ダイエットの際、トレーニングの際には下腿三頭筋はさほど意識をされず後回しにされがちな部位ですが全身で3番目の大きな筋肉を放っておくのはとてももったいないですよね。
ロコトレでも推奨
ロコトレというものをご存じでしょうか?
日本整形外科学会がロコモティブシンドロームの予防・治療のために中高齢者に推奨をしているトレーニングの中にも含まれています。
鍛えるメリット
ボディメイク・ダイエット効果が高い
下腿三頭筋はとても大きな筋肉です。大きな筋肉を鍛えるということはトレーニング効率が良いと言い換えることができます。
また当たり前ですが下腿三頭筋は歩行という日常生活でも使用されますので、サイズを確保しておくことが日常生活でのカロリー消費にも繋がります。
ボディメイク・ダイエットを始めるにあたってのきっかけとして‟下腿”が上がることは少ないと思われますが、特別に下腿が悩みでなかったとしても意識してトレーニングを行うことでの恩恵は大きいでしょう。
見栄えに関わる
始めはあまり気にされないかもしれませんが、ボディメイク・ダイエットを進めていくと自身のカラダの細部が気になっていきます。下腿も例外ではありません。
上半身だけ発達していれば‟チキンレッグ”と揶揄されてしまうように、膝から上だけ発達していても少し残念な脚となってしまいます。
また普段から大腿部が露出された格好は少なく、下腿は大腿部より露出されがちであるため仮に素晴らしい大腿を持っていたとしても細い下腿だけが見えてチキンレッグの烙印を押されてしまうかもしれません。
女性であればドレスアップやスカートの際は下腿は露出されます。二の腕であろうが腹部であろうが引き締まった部位は美しさにも繋がっていきます。
バランス能力の低下を防ぐ
中から高齢者の方であってもカーフを鍛えることは重要と言えます。
下腿三頭筋を鍛えることはバランス能力の低下を防ぐという報告もあり、ダイエット・ボディメイク効果だけでなく日常生活を送るうえでも必要な筋肉と言えます。
日本整形外科学会が推奨するロコトレでもヒールレイズとして紹介されています。
バリエーション
下腿三頭筋を鍛えると言っても実は様々な種目があります。
種目毎の特徴を捉えて使い分けてみましょう。
スタンディングカーフレイズ
下腿三頭筋を鍛える際にまずイメージされるトレーニング方法ではないでしょうか。
立った状態で足首を曲げ伸ばします。
できれば段差を利用してしっかりストレッチをかける方が効果的です。
余裕があれば片脚ずつ行うことで負荷の調節も行えます。
ドンキーカーフレイズ
腰を折った状態で行うカーフレイズです。
筋電図などを用いた研究では筋肉の活性は他のトレーニングより高いという報告がありますが、負荷を高めていくには人に背中に乗ってもらったり、スミスマシーンを使用したりといった工夫が必要になります。
シーテッドカーフレイズ
座った状態、膝を曲げた状態で行うカーフレイズです。
腓腹筋は膝を通り越して大腿骨に付いていますので膝を曲げることで弛緩します。
つまり膝を曲げることで腓腹筋の働きが弱くなりますのでヒラメ筋を優先的に鍛えたい場合に有効と言える種目です。
負荷をかけるのはシーテッドカーフレイズ用のマシーンか、ダンベルなどが必要となります。
カーフプレス
レッグプレスのマシーンを使用して行うトレーニングです。
スクワットのように脚全体で上げ下げしているレッグプレスの重量を、足関節の曲げ伸ばしだけで行い下腿三頭筋を刺激します。
マシーンを必要としますが重量の変更が容易というメリットが大きいです。
トレーニングのコツ
アキレス腱のバネをなくす
下腿三頭筋は人体最大の腱であるアキレス腱となり踵に付着します。
腱はバネ様の働きがあるため意識して動きを止めないとトレーニングをしているつもりがただただバネで伸び縮みしているだけとなっていることがあります。
トレーニングの際は足首をしっかり背屈(上に反る)させて(スタンディングカーフの際は段差を利用して)下腿三頭筋をストレッチさせるのが有効と言えますが、バネの働きを消すために‟ゆっくり”背屈していき、さらに背屈から戻って底屈に移行する前に一瞬止まる必要があります。
バネを働かせたままトレーニングを行えば無限にできるのではないか?と思えてしまうほど強度が低下してしまいますので、最大背屈位で1秒なり静止する意識で行いましょう。
最大収縮を意識する
筋トレの基本原則は最大可動域で行うことです。下腿三頭筋も例外ではありません。
しかも下腿三頭筋は歩行でもランニングでも日常的に使用される筋肉であり普段から使用されています。普段から使用・鍛えられているだけあって負荷に慣れており鍛えることが難しいとも言えます。
しかしいくら普段から鍛えられていると言ってもダッシュ時でも最大底屈位となることはありませんので、最大底屈位まで刺激をすることには意味があります。
重量を扱う場合であっても‟つま先立ち”を意識するぐらいの背屈を意識して行い、底屈位でも1秒停止するぐらいの意識で行いましょう。
外側・内側を意識する
腓腹筋は外側頭と内側頭に分かれます。
鏡などで見てみて明らかにどちらかが劣っているなどのようなことがあれば意識して弱点側を鍛えるのも良いかもしれません。
外側・内側に分けて鍛えることなんてできるの?と思われるかもしれませんが、2020年の研究報告では可能とされています。
外側頭を鍛えたいなら足先を外側、内側頭を鍛えたいなら足先を内側に向けることで優先的に鍛えることができます。
回数・頻度
ヒラメ筋は遅筋の割合が圧倒的に多く、腓腹筋は半々ぐらいということを考慮すると負荷の強さが調節できるのであれば回数は高重量ローレップの時と、低重量ハイレップの時を設けるのが良いでしょう。
もともとヒラメ筋の方が大きいため必然的にヒラメ筋の方が大きくなりがちです。全体的なサイズアップにはかかせませんがヒラメ筋ばかり肥大すれば‟ボテっと”した脚になってしまうかもしれません。
腓腹筋の膝近くでの盛り上がりを作りたい場合は腓腹筋を選択的に鍛えるため高重量が必要と言えます。
まとめ
①下腿三頭筋はとても大きな筋肉であり鍛える必要性があると言えます。
下腿三頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋)は全身で3番目に大きな筋肉であり放っておくのは損しているようなもので、ボディメイク・ダイエットにおいて積極的に鍛えたい部位です。
男女を問わず見栄えにも関わる筋肉であり、老後にはバランス能力にも関与することからも鍛えておいて損はないと言えます。
②遺伝性が強いと言われますが克服する手筈はあるはずです。
昔からカーフは遺伝性が強いと言われますが、過去に弱点としたカーフを克服している人もたくさんいます。
近年ではしっかりとしたトレーニングをすれば発達したという報告があり諦めるのは早いかもしれません。
③下腿三頭筋の特徴を知り、トレーニングの特徴を捉えて実践しましょう。
腓腹筋は速筋と遅筋が半々ぐらい、ヒラメ筋はほぼ遅筋線維で構成されています。また腓腹筋は膝を曲げる作用もある二関節筋ですが、筋肉のサイズとしてはヒラメ筋の方が1.5倍ほど大きな筋肉です。
腓腹筋を優先的に鍛えたいのであれば高重量で膝を伸ばしたトレーニング、ヒラメ筋を優先的に鍛えたいのであればハイレップで膝を曲げたトレーニングをしていきましょう。