筋トレをやっているとよく「何を目指しているの?」とか「何のためにやっているの?」という質問を半分馬鹿にされながらされます。
世の筋トレ好きで日々カラダを鍛えている方は男女を問わず経験したことのある方は少なくないでしょう。
他のスポーツはそうそう言われません。なぜか筋トレだけです。
うまく言い返すことができず、モヤモヤしてしまったことのある経験もあるかもしれません。ダウンタウンの松本さんもかつてテレビで困惑しているのを見かけたことがあります。
自他ともに納得する考え方・言い返し方を考えてみましょう。
主観的目的
①理想のカラダが欲しい
ハマるぐらい筋トレを行う人はほとんどこの理由でしょう。
筋トレを行い継続していくと、最初は到底上がらなかった重い重量が上げられるようになる、自身でも見たことのない新しいカラダの自分に出会うことでハマっていくパターンが多いです。
最初は何となく始めたことで得られた結果もいずれは停滞します。そこでさらにより美しく・より重い重量にを上げられる自分に出会うためにトレーニングの時間以外の生活も筋トレのために注いでいくようになっていきます。
②健康目的
最初は健康目的であることもあります。検診でメタボと言われた、お腹がでてきた、など様々な理由がありますが、そのまま健康オタクになっていく人がいます。
健康目的でやっているうちに自身の変化に気づき楽しくなりのめり込んで①の状態になっていく人もいます。
実際にちまたでも「運動習慣として筋トレを取り入れましょう」といった内容の言葉もよく聞かれます。
もし筋トレが非常にカラダに良くないという認識であれば、断然もっと筋トレ愛好家は少ないはずです。
筋トレ好きで続けていける人の背景にも筋トレ・運動は「カラダに良い」という思いが後押ししていることは間違いないでしょう。
客観的疑問
①何を目指しているの?
ⅰ体型
異常なほど筋肉がついている人は、ただ体形を見られるだけでも「何を目指しているの?」と言われるでしょう。普段生活をしているうえでは通常見かけない異形の体型にビックリし、これは普通ではない、何か目的があるはずだと思ってしまうのでしょう。
ⅱ生活の制限
筋トレをつきつめていくと食事管理・トレーニング時間の確保・休養の確保・お酒の回避など徹底しなければいけないことがどんどん増えていきます。
少しやるぐらいならもちろん支障はありませんが、徐々に日常生活レベルに支障をきたしていきます。
誰からも言われることなく自分自身で制約を課しているにも関わらず自身の生活を圧迫していることはよくあります。
周りからしたら修行僧のようなキツそうな生活管理を楽しそうでかつキツそうにやっているのを見るとついつい出てくるワードが「何を目指しているの?」だと思っています。
決して悪意はないと信じていますが、時に半笑いで質問され馬鹿にされているのかと感じてしまうのです。
ⅲ他のスポーツ
しかし、他のスポーツはそうそう言われません。
例えばゴルフが好きで毎週のように早朝からラウンドに行き、平時の練習も欠かさないという人がいても「マスターズでも目指しているの?」といった疑問は持たれません。
「相当ゴルフが好きなんだね」ぐらいで終わることが多いです。
②ナルシストなの?
頻度は①程は少ないと思いますが、この「ナルシストなの?」も多いと思います。直接言われないにしてもそう思われていることも多々あると思います。
どうしても筋トレと言うと、ボディビルのイメージで筋肉を誇示するイメージがあるからでしょう。実際、筋トレをして得た筋肉を見せたい人は少なくはないと思っています。
ジム内では鏡が多く、トレーニングの間に力をいれて自身の筋肉を確認している姿はよく見かけられます。
筋肉をなるべく露出させた服装、ピチピチで筋肉が浮き出る服装なども筋肉を見せたい願望が関連しているでしょう。
③モテたいだけでしょ?
こちらは意味合いとして①②とかぶるところもありますが特に男性ではよくあります。
日常生活を制限し、筋肉をアピールして、鏡でチェックするなどの姿を見られるからでしょう。
そして特別に大会などを目指している訳ではないとわかっている場合だと次に思い当たる理由がこの「モテたいだけでしょ?」につながっていくのでしょう。
④どうせ役に立たない筋肉でしょ?
特別、筋トレ以外のスポーツを行っていない人によく向けられる言葉です。
ほぼ悪口ですよね。
しかしここでは”役に立つ”という意味を考えてみないといけません。
質問者の言う”役に立つ”の意図はスポーツに使えないという意味でしょうが、それだけで役に立つ・立たないと言っていいのでしょうか?
疑問に対する返答
①何を目指しているの?
→自分の理想です。
→何も目指してないよ。
実際に大会に出るのどの目標がある人はもちろん別です。その目標のことを言ってしまえば明確な返答になります。
しかし、大会までは目指していないという方が大多数でしょう。
「自分の理想」と答えるのが単純ですがもう少し明快に「かっこよくなりたい」、「美しくなりたい」などもあります。しかし、この返答は引かれる可能性がありどうしても言いづらいところでしょう。
その場合は「何も目指してないよ」「身だしなみを整えているだけだよ」でも良いと思います。
②ナルシストなの?③モテたいだけでしょ?
①で何と返答をしても相手は全く納得していないことでしょう。
①の返答の後には②や③の質問をされなくても「あなたもいろいろ着飾るし、鏡で自分をチェックするしオシャレもするでしょ?」などと先に言ってやりましょう。
質問をしてきた人も家を出かける前は顔を洗ったり、髪を整えたりしますし、鏡でチェックもします。女性なら化粧もします。服もパジャマのままは出かけません。
寝る直前にケーキを食べることはないでしょうし、少し太ったかな?と思ったのなら短期間ダイエットもするでしょうし、ダイエットしている間は自身の姿を鏡で見て締まったくるウエストをみて一喜していることでしょう。
お気に入りの服を身に着ける際は普段以上に鏡を見てテンションが上げているでしょう。
結局は程度の違いなのです。
みんな程度の違いこそあれ同様のことをやっているのです。
化粧したり着飾り鏡を見ている日常的なことに対してナルシストなの?モテたいの?などと言われたら「違うわ!」とか「そんなんじゃないわ!」言いたくなるでしょう。
若い女性などで細い脚やウエスト、デコルテなど出している人がいます。綺麗で自信のあるカラダのパーツは出したいし、オシャレとして出したいものです。
もちろんこういった若い女性に対してナルシストなの?モテたいの?とは言わないですよね。
30代女性・夫・子あり、という人が化粧・オシャレなどをしていても「モテたいの?」とは言われません。
80歳を超える方でも化粧はしますし着飾ってオシャレもしますそし、そのオシャレに対してナルシストなの?とは言わないです。
例を挙げればキリがないですが、みなさん綺麗な自分を見ることで楽しんでいるのは間違いありません。しつこいようですが、程度が違うだけなのです。
筋トレ中毒者も自身のカラダの変化を楽しんでいるのです!
筋肉を見せたがる理由も同様の理由で説明できます。
わざわざ宝飾品を着飾ってそれを服の中に隠したりしませんもんね。
④役に立たない筋肉でしょ?
ひと昔前は筋トレで付けた筋肉は使えないだのということがよく言われました。
しかし昨今ではどのスポーツ界でも練習に筋トレが導入されているのが一般的です。
もちろんスポーツ毎の特性によって鍛える部位・鍛え方は千差万別ですし、ボディビルのように全身の筋肥大のみを目的としたトレーニングは行われません。
そして実際にプロ野球巨人軍のキャンプでに日本選手権9連覇のボディビルダー鈴木雅さんが指導を行っていますし、柔道全日本代表を同じくボディビルダーの岡田隆さんが指導にあたり東京五輪の躍進を導くなどの実績もあります。
今やスポーツに筋トレはセットと言ってもよいでしょう。
確かにボディビルダーの方がいきなり野球だのサッカーだの他のスポーツをやってもできません。
しかし、これはある意味あたり前ですし逆もまたしかりなのです。
テレビ番組などでとあるスポーツの注目選手が紹介され「その強さの秘密は鋼の肉体でした」なんていうフレーズがよくありますが、その有名選手がボディビルの大会に出てもまったく成績が残せないどころか一般の筋トレ好きの人にも敵わないでしょう。
ただ違う垣根の人を比較しているだけで全くナンセンスな質問なのです。垣根を越えて良いのであれば、どんなに一流のサッカー選手の筋肉も野球界の人からは「役に立たない筋肉でしょ?」と言われてしまいます。
かつてのNBAの大スター、マイケルジョーダン氏が良い例ですよね。
ここまで言うと、「じゃあ筋トレだけの人は何の役に立っているの?」
という質問が聞こえてきます。
この質問にも答えはあります。
筋トレで筋肉を得ている人は大なり小なり自身の筋肉に自身を持っています。その筋肉をまとうことでファッションという意味で常に楽しめています。
スタイルが良ければ何気ないTシャツだけでカッコイイですし、またそれが日常生活の自信につながっている人もいるでしょう。
もちろん普通の人よりは当然筋力もありますので、重たい物を持つなどのちょっとした日常での力仕事でも常に役に立ちます。
何かのスポーツで輝くことは少ないかもしれませんが、日常生活に寄り添っているという意味では圧倒的に実用的であると考えられます。
⑤ケアしているだけマシ
では、筋トレと化粧や着飾りでは何が違うのでしょう。
化粧・着飾りでは身体的制限を伴いません。ボディメイクとなると身体的制限を伴い、ここが圧倒的に異なります。
しかし少なくとも運動はしなきゃいけないとはわかっているのにやらない人、ダラしないカラダを放置している人よりは絶対的にマシなはずです。
アメリカでは肥満は自己管理ができてない人と見なされ仕事で不利になります。ボディメイクを行えている人は自己管理ができる自制心がある人なのです。
ここまで追い打ちをかけて言う必要があるかは相手との関係性も選んで言いましょう。
バチバチしてしまう可能性があります(^-^;
ここまで言ってだめなら
ここまで説明しても納得が得られないこともあるでしょうし、さらに追い打ちの質問をされることもありますのでその先も考えておきましょう。
①でもそこまで筋肉いらなくない?
男性目線で女性に対して細い人が好き、ぽっちゃりが好きなど好みの違いがありますし、女性目線でも男性に対して筋肉が好きな人がいれば逆に筋肉は無理という人、ふっくらしている人が好きといった好みの違いがあるのと同様です。自身に対するカラダの好みが違うだけです。
人のお気に入りの服装をバカにするのと同じぐらい失礼な質問です。
だから「そこまで筋肉いらなくない?」の質問に対しては「ほっとけ!」とか「大きなお世話だ!」です。
②でもカラダに悪そうじゃない?
この質問に対しては一理あります。実際に男性で言うと体脂肪率が10%を切ってくると免疫が落ち風邪を引きやすくなりますし、女性で追い込みすぎれば生理が止まるという反応がでることがあります。
大会直前などは除いてもしここまで普段から追い込んでいる状態で「カラダに悪そうじゃない?」と言われたらこれはもう認めるしかありません。が、これは極端な例です。
医学の道をいく私の立場からしてもやはりオススメはできませんが、本人も重々自覚のハズです。カラダに悪い状態を承知でやっているのであれば、それはもう本人の自由です。尊重してあげだいものです。
③論理的打破を試みましょう
わかっている事実として一般には特に運動をしなければ30歳ごろより筋肉は年間0.7%のスピードで減少していきます。
また筋力トレーニングは心疾患や脳血管疾患への予防効果があり、骨格筋は糖代謝・脂質代謝にも関わります。
間違いなく筋トレは健康に有用であり、WHOのガイドラインでも18歳から64歳の一般成人は「1週間のうち2日は中強度以上の負荷をかけた筋力トレーニングを取り入れるべきである」とされています。
日本人の40代以上の方対象としたアンケート調査で”幸福と関係が深いものはなんですか?”の問いに対し1位は健康(77%)という結果であり、健康への欲が高いのは間違いありません。
しかし厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」では、運動習慣のある人の割合は
男性:33.4%
女性:25.1%
というさみしい結果となっており、健康への欲とは対照に行動が伴っていないのが現実です。
みなさん、楽して健康を得たいとは思っているのかもしれません。
もちろん老化に逆らう行為である以上、楽して筋肉を得るということはできません。
うざがられるかもしれませんが、最終的には質問者の方を筋トレ側に引き込んでいくのもいいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
筋トレ・ボディメイクも”オシャレ”や”身だしなみ”と同系統です。
程度や求める姿の価値観が異なるだけなのです。
「何を目指しているの?」とまで質問をされるような人は強い自制心をもって自身が求める姿に向けて努力を続けられている人なのです。
具体例をあげつつ筋トレの有用性を説き、そして相互理解を深めましょう。